わすれじの
ゆくすえまではかたければ
けふをかぎりの命ともがな
小倉百人一首、第五十四番の歌です。
作は、儀同三司母(生年不詳~996)
新古今集 巻13・恋3に載っています。
この歌は、妻が夫にむけて切々と歌った恋の歌です。
一夫多妻であった当時は、夫婦は別々に住み夫が妻のもとに通う生活でした。
夫が自分のもとへ通ってくるのを妻は、ただ待つしかなかったのです。
そのような生活の中で、
夫が自分を忘れないと言ってくれている、この幸せな時にいっそ死んでしまえたらと詠んでいる歌です。
この歌の作者は、儀同三司母(ぎどうさんしのはは) です。
名は、貴子 夫は、関白家の藤原道隆です。
やがて貴子は、伊周・隆家・定子など3男4女をもうけます。
定子は、後の一条天皇の中宮になり、清少納言が仕えた主人です。
道隆は摂政になり、伊周は儀同三司という高い位につきます。
この、位名が、貴子の呼び名になります。