春すぎて夏来にけらし白妙の
ころもほすてふあまのかぐ山
小倉百人一首、第二番の歌です。
作は、持統天皇(645~702) 新古今集 巻3・夏に載っています。
この歌は、夏が来た様子を詠んだ、季節の歌です。
都から、天の香具山を眺めると、山肌の若葉に何か白い色が映っています。
あれは、神が干すと言われる白妙の衣のよう
今年も夏がやって来たとの思いを詠んだ歌です。
父の天智天皇に続き、とても波乱に満ちた生涯を送った女天皇でしたが、
晩年、都を藤原京に遷すと、そこからは、天の香具山の美しい姿が望めました。
爽やかな、夏の情景を詠んだ持統天皇の穏やかな心境が、この歌からうかがえます。