ひさかたのひかりのどけき春の日に
しづ心なく花のちるらむ
小倉百人一首、第三十三番の歌です。
作は、紀友則(不詳~905ごろ) 古今集 巻2・春下に載っています。
うららかでのどかな春の光の中なのに
なぜ桜の花は、散り急ぐのか、
落ち着いた心を持って、もうほんの少しでよいので、
いま、この時にとどまってくれないか
このような思いを込めた歌です。
作者の紀友則は、古今集の撰者ですが、無官の時が長く、不遇を過ごした人だったようです。
この歌も、今では、小倉百人一首を代表するような、有名な歌ですが、当時は、ほとんど評価されなかったとの事です。
鎌倉時代、定家によって見いだされてから、ようやく評価されたようです。
のどかな春の光のなか、花びらの舞い散る静かな情景が目に浮かんできます。