たちわかれ
いなばの山の嶺におふる
まつとしきかば
今かへりこむ
小倉百人一首、第十六番の歌です。
作は、中納言行平(818~893)
古今集 巻8・別離に載っています。
この歌を紙に書いて、皿の下などに置いておくといなくなった、ねこなどが帰ってくるといった、おまじないに使われる歌で、別離の歌です。
別れの切なさを詠んだ歌です。
作者の中納言行平こと在原行平が、都を離れ、遠い因幡国へ赴任するとき、多くの人が悲しみました。
行平は、人々へ別れの挨拶としてこの歌を詠んだと言われています。
お別れですが、因幡の稲羽山に生える松のように私の帰りを”待つ”と聞いたなら、すぐに戻ってまいりましょう。
この歌の作者は、中納言行平こと在原行平(ありわらのゆきひら)です。
平城天皇が失脚すると、行平は臣籍に下り、在原姓を賜って生きていくことになります。
行平は、中央の要職や地方の国守などを歴任し民政に手腕を発揮しました。
斉衡2年(855年)に因幡守に任じられた春に因幡国に赴任しました。
数年後、帰京した行平は、公卿となり国政に携わることになります。
時の関白、藤原基経の権勢に抵抗した、硬骨の政治家だったと言われています。